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森の声

森は、こちらが心を開いていると雄弁に語りかけてくれる。
一本の木から伝わってくることもあれば、森の空間、山全体が語りかけてくる時もある。

人が多く通る登山道よりも、
人気の少ない、原生林のような森の方がその傾向が強いように感じる。

そして、その交流はいつも突然やってくる。

それは私が、
風の心地よさ
木々の美しさ
香りの豊かさに魅了され、
その美しさを心から賛美する時に、大抵起こるのだった。

全身に鳥肌が立ち、それは背中から頭上に向かって一気に毛穴が開いていくような感覚を伴い
自分の中から何かが放出される心地よさに身を預けていると、スイッチが入るようだった。

彼らは、喜びや祝福のエネルギーの中に存在し、同時にそのエネルギーを放出している。
そこに同調することは、私の喜びであり、回復となった。

言葉の交流が必要ないくらい、エネルギーの同調で十分に満たされる。
その中にあるだけで幸福だった。

私の中で、もはや森は、目に見える森以上の存在となっていった。
同時に、それを体感すればするほど、現実とのギャップに苦しむようになった。

ただの現実逃避か。

喜びの中に存在する自然界と、
タスクをこなして上を目指す現実社会とのギャップに、自分がついていけなくなっていった。

心身の充電と回復を目的としていたはずが、日常への違和感を際立たせることになっていった。
当たり前にしてきたことに、いちいち疑問を感じてしまうのだから、今まで通りの自分が機能しなくなる。

垣間見てしまったあの世界をなかったことにして日常を生きることは、自分を騙してるようだった。

生き方を変えたい。

与えられた幸福像をなぞって生きるのではなく
私が満たされる生き方をしたい。

それがどういうものなのか、まだ漠然としているけれど、確かに芽生えた野心だった。

 

 

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