手しごとに宿るもの
先日、いただいた羊毛を手紡ぎ&手編みして、娘たちの髪留めを作りました。
まるで、映画「千と千尋の神隠し」の銭婆の家でのワンシーンのようでした。
そういえば、映画の中で銭婆は、千尋に髪留めを作りながらこう言います。
魔法で簡単に作ったんじゃ意味がないからね
時間と手間をかけることに、手仕事の真髄があることが伺えます。
手仕事は、一見面倒な手順や、単調な作業を繰り返す中で
そんな効果を感じるものです。
これはまるで、その動作に導かれるようにして起こるようで、日本文化や生活様式、伝統的な手仕事の多くは、ここに行き着くような気がします。
「糸を紡ぐ」という行為でも、もちろんそれを感じることができます。
螺旋の働きを利用する糸紡ぎ
ここで、糸紡ぎの仕組みについて簡単に説明すると、
糸紡ぎとは「螺旋の働き」を利用する手仕事です。
まず、回転によってエネルギーを生み出します。
そのエネルギーが繊維に伝わると、繊維は、螺旋を描きながら寄り集まって糸となり、
そのエネルギーを先へ先へ伝えようと、進んでいきます。
このエネルギーの通った道が、糸となるのです。
エネルギーが手に伝わる感覚、糸を通っていく感覚を扱う手仕事と言えます。
螺旋はそれを「伝える、通す」役割がある
糸紡ぎとDNAの共通点
ここでさらに、話は飛躍しますが、
この、糸になる前の綿の繊維1本1本のひも状の形は、最近の研究で明らかになっている「素粒子」(物質を構成する最小単位)の形状と極似してるそうです。
糸の繊維のような素粒子が集まることで物体を作っていくという科学は、手元の繊維と糸を見れば、案外想像ができるものです。
さらに、螺旋を描くといえばDNAです。
先ほど、糸紡ぎを通して「螺旋は伝える働きがある」ことが分かると説明しましたが、
つまり、何かを伝えるときにはこの螺旋構造で伝えるということから、DNAが螺旋構造であることも、納得がいくのです。
まるで、手仕事を通して真理を垣間見るかのようです。
それでも、地に足をつけたままマクロにもミクロにも意識を馳せることができるのは、手が動いているからだと言えるでしょう。
銭婆が千尋に託したものとは
さて、少し話がそれましたが
銭婆が手紡ぎ糸の髪留めに込めたものとは、一体何なのでしょうか?
銭婆はこの髪留めを
御守りだよ
これはみんなで紡いだ糸で編んだものだから、大丈夫
といって、千尋に手渡し送り出します。
映画のラストシーンでも、現実世界に戻った千尋の髪留めが光って物語が終わります。
この髪留めに、重要なメッセージが込められていることは明らかです。
それは一体何かというと、銭婆の家に溢れていたものです。
嫌われ者や赤ちゃんといった一見、役に立たないはずのキャラ濃い目のメンバーが、みんなで一緒になって楽しんで作るという、まさに、多様性と平和の象徴のような空間です。
その世界観を織り込んだのが「みんなで紡いだ糸」であり、
「みんなで作った髪留め」なのです。
だから御守りになるのです。
そして、この糸を、託されたとも言えるでしょう。
先人の知恵の保存庫になりたい
さて、現実世界に戻った千尋同様、私たちも、受け継いでいるものがあります。
この「精神」は、神社仏閣から日常生活、手仕事の中に至るまで、しっかり落とし込まれているのが日本の暮らしです。
その精神とは、「真心」「感謝」という言葉が、しっくりきます。
日本には、あらゆる場面で、これを感じる仕掛けがあるとも言えるでしょう。
そして、その日常の文化がどんどん消えていく現代だからこそ、その保存庫としての役割を担いたい。
そんな思いで始めるのが「手しごとと薬草の図書館」です。
仕事の文字を平仮名にしたのは、大人も子どもも一緒に、暮らしの中でできる作業であることを表したかったからです。
日本文化に散りばめられた美意識や、
先人の知恵、自然との共生、物質・精神共に豊かさをテーマに、
それらを、現代流にアレンジしながら
ネットも現代技術もお金も大いに活用して、
楽しく温故知新していけたらいいなと思います。
「手しごとと薬草の図書館」
無料会員登録
特典&できること
- 会員限定記事の閲覧
- プレゼント企画応募権
- オリジナル商品の先行販売やクーポン券発行など各種特典あり
- お気に入り登録で自分だけのデータベースとして図書館を利用可能
ご登録方法
ニックネームとメールアドレスだけの簡単登録です。
なお、ニックネームは、インスタグラムアカウント名をぜひご記入ください。
それでは、『手しごとと薬草の図書館」をどうぞよろしくお願いいたします。