さて、綿花の収穫後に手にした5000粒の種、10坪の畑には到底撒ききれない。
もっと広い農地が欲しい。
手元にある種たちに願いを託す。
あなたたちを思いき撒ける土地を教えて
と。
家庭菜園歴6年、この間、広い農地が欲しくて行政から民間まで様々な窓口に掛け合ったが、ことごとく断られてきた過去がある。
農地取得が一番の難関という自覚もあった。
自分の足で荒れた土地に目星つけて、そこの情報を聞くなんてこともやってきた。
今回は、規模が違う。
こちらは本気でこの種を蒔く場所が欲しいのだ。
そのため、神奈川での農地探しは諦めて、八ヶ岳で探すことにした。
理由は、好きな土地だから。
すると、ご縁がつながるようにして、すんなりと耕作放棄地が見つかった。
早い、早すぎる!
ついていけない。
場所を聞くと、そこは、「こんな広い農地でできたらいいな~」と、夢を膨らませて妄想に浸った、まさにその土地だったのだからさらに驚く。
願いが早く実現しぎると、疑ってしまうという不思議な現象が起こる。
同時に、夢が叶うとなると、突然恐怖に襲われるようだ。
無理だよ
無理だよ
あんな広い土地、一人じゃ無理だよ
やめときなよ
大変だって
人巻き込んでできなかったら恥ずかしいし迷惑かけるだけだよ
子供はどうするの?
家のことは?
旦那反対するよ
これだけ放棄されてた土地だもん、なんかワケありなんだよ
バカな遊びはここまでにしよう…
心も頭も、この声に乗っ取られて動けなくなる
「止めることが正解」としか思えなくなる
そんな自分の中の葛藤のため、
なんと1ヶ月も返事を保留にしてしまったのだ。
それでも、農地は逃げずに待っててくれた。
まずは、チャレンジということで、300坪の規模からトライすることとなった。
こうして、2021年2月3日春分の日、私は八ヶ岳の耕作放棄地に鍬を入れた。
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