今年も暮れの大掃除が終わらない。
来年1年かけてゆっくり断捨離すればいいか
そう開き直っていた年末、実家の母から電話があった。
押入れの奥から、箱が出てきて、色んな物入ってるのね。
よく分からないから見に来てほしい。
と。
どうせ姉の物だろう。私の物がとってあったためしがない。
末っ子特有の諦めと、わずかな期待を胸に、年が明けてから実家に赴いた。
待ってましたとばかりに、部屋の中央に大きな箱が鎮座していた。
見覚えのあるこの箱。
壊れて鍵のかかっていない箱を開けてみると、
写真やネガ、文集やノート、寄せ書きや表彰状が、納まっていた。
そのどれもが、やはり姉の物だった。
諦めと僅かな期待を抱きながら、一つ一つ取り出していくと、箱の底に、見覚えのある黄色いファイルが見えた。
見つけた瞬間、抜き出すように手にとり、ファイルを開いた。
そこには、丁寧に描かれてた家の間取り図が何枚も何枚も納められていた。
小学5年生の頃から、私は理想の家の間取りを書くことに夢中になっていた。
自分で描いた絵の中なら、私は大きな家に住んでいられる。
紙の上の世界に夢中だった。
少しでもリアルに味わいたくて、立体的に書こうとした工夫が随所に見える。
懐かしい気持ちで眺めていると、
一枚の図面が、今住んでいる家と極似していることに驚いた。
毎日毎日こんなに願いを込めて、
叶え叶えって
強く思って書いていたんだね。
今、叶ってるよ!
10歳の自分の面影に、そう心で伝えると、自然と顔も微笑んでいた。
今、目の前にある現実は、いつかの自分の願いが実現したもの。
今の私は過去の自分の願いの上に立っている。
そう思うと、純粋に願い続けた過去の自分を愛おしむ気持ちが芽生えた。
この宝箱を通じて、今の私と小学5年生の私が繋がったようだった。
願ってくれてありがとう。
私も未来の私のために、また願うことを始めよう。
そう心に決める、新年らしい里帰りとなった。
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