私が最初に和ろうそくに惹かれたのは、灯りにではなく、灯芯にでした。
和紙とい草と木綿だけでできた灯芯は中が空洞になっていて、その束が、異様な雰囲気を放っていたのです。
初めて見たとき、何か、見てはいけないものを見てしまったような不気味さと、
「あれは何だ?」
という好奇心に駆り立てられ、目にしたその日に
「習いたい、作りたい」
と申し出たのでした。
そして、実際に手掛けの技法を習いながら、灯芯に蝋を一枚一枚纏わせていくように塗り重ね、灯芯が完全に隠れると、なぜか安堵したのでした。
和ろうそくの灯芯が、空(くう)であることになぜに自分があれほど惹かれたのかまだ分からないけれど、
この空の周りを現象という炎が燃え盛り、
時にちはやふりながら、
時に鎮魂しながら、
最後はわずがな灰だけを残し消え、
空だけが、空のまま、そこに在る
という和ろうそくの生涯を見ていると、この世の理を見るような深淵な気持ちになるのです。
消えてからもなお、心の余韻が深い和ろうそく。
いただいた植物の恵み、関わった人の手、その想い。
それら一切が、跡形も無く消えることの潔さに美学を見るのです。
受け継ぐことで残したいのは、手仕事という技術だけではなく、同じ動作をなぞることで、そこに息づく精神性を辿り、紐解き、感じることをしたいからです。
その精神性を含めて受け継ぎ、残したいと思うのです。
和蝋燭シリーズ「空(くう)」発売
種類 |
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サイズ | 中:長さ10㎝、幅12mm 大:長さ15㎝、幅14mm |
燃焼時間 | 中:約60分/1本 大:約90分/1本 |
価格 | 中5本セット:5500円 大3本桐箱入り:5000円 |
特典 | 手しごとと薬草の図書館会員様は送料無料クーポン配布中(6/15まで) |