百の手しごと

ご縁を結ぶ糸

マコモを、自分で紡いだ糸で結んだ時、
商品に魂が入る感覚を覚えた。

結んだ時のこの喜びは、
私のものなのか、
マコモなのか、
それとも綿なのか。

誰のものかもわからないくらい、
嬉しさが込み上げてきて
その想いを堪えるように、最初の糸を結んだ。

✴︎✴︎✴︎

もともと、結び目の候補は水引だった。

しっかり結べるし、見栄えも良い。
だけど派手になりすぎて、
どうにもしっくりこない。

次に試したのは、
自分で黄金色に草木染めした絹の糸。

美しさと気品は申し分ないのだけど、
糸が細くて、まこもに食い込む感じが
なんとも痛そうで、却下した。

そこで、はたと思い出した。
自分の畑になり成る和綿が、
山ほどあるではないかと。

(和綿も調理用糸として
お茶の紐に使えることも判明!
やり方も分かり、許可も出た。)

そして、すぐ畑に向かい、
収穫して、採れたてを綿繰りし、
手紡ぎして、糸にし、試作した。

綿繰りを手伝う子どもたちの笑い声が
糸に吸収されていく。

自然の循環に人が参加することの役割は、
ここだけだ。作る喜びを込めること。

そして植物は、私の手を離れて
次の人の手に渡る。

「嬉しい、楽しい、可愛い、美味しい」

そんな感情を、植物が引き出してるようで、
実は、植物の方が、
その感情をいただいて喜んでる。

そして満足してお役目を終了する。

本当は、ゴミ箱じゃなくて、
土に還れたら嬉しいけれど、
それは、も少し先の世界かな。

関わった人の想いごと土に還れたら、
また豊かな循環が始まるから。

SDGsなんて大それたことは考えなくていい。

ただ足元の土を、
生命と、人の感情で、豊かにしたい。

私は育てさせてもらって、
その恵でたくさん遊んで作らせてもらってる。

ここで、どれだけの恩恵をもらってることだろう。

植物の恩恵を、私で止めずに流していくこと。
それが私の役割。

すぐに手を離れ、流れていってしまう縁だからこそ、

これは、私がまこもと関わった、
その確かな証として結ぶ糸なのです。

 

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