春の陽に照らされて新緑が煌めいている
都会の街路樹に、春を感じるひととき
車の往来が激しい交差点の隅で
美しい香りが私の足を止めた
香りの主は、沈丁花
春の訪れを知らせる
気品漂うその香り
ビルの隅の暗い生垣の下に
その姿はあった
踏まれたのだろうか
枝全体が折れ曲がるように倒れていた
それでも、アスファルトに顔をつけそうになりながら、花は確かに咲いていた
どんな格好でも、花を咲かせるその強さに
思わず心の中で
頑張って
あなたはとても美しい
香りをありがとう
と、声をかけていた
春があちこちに咲いている
揺れて、放って、歌っている
人間よ、気づいて、そして受け取って
と言わんばかりに
勇み足では気づけない
健気な愛が、春風に乗って流れてる
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